相続と固定資産税に関するQ&A
亡くなった人の固定資産税は、誰が負担しないといけないのですか?
亡くなった方の固定資産税は、遺産の分け方が決定していない場合、その相続人全員で負担する必要があります。
もっとも、相続代表者の指定を行えば、固定資産税の請求通知が相続代表者のみに届くこととなります。
この相続代表者の指定は、一旦、固定資産税を支払う人を決めるだけですので、相続代表者が固定資産税を全額負担するということではありません。
また、相続代表者が決まったからといって、他の財産についても相続代表者が取得することになるわけでもありません。
例えば、相続人が長男と次男の2人のケースで、相続人代表者が長男となった場合、長男が固定資産税を支払うこととなります。
もっとも、長男は、次男に対し、次男の負担分の固定資産税額の支払いを求めることができます。
また、遺産の分け方について、長男と次男は、遺産分割を行う必要があります。
何年も前に亡くなった人の固定資産税の請求が届いたのですが、全額支払わないといけないのですか?
亡くなった方の相続放棄をしない限り、過去5年分の固定資産税について、全額負担する必要があります。
固定資産税の支払いは、すべての相続人が固定資産税額の全額を支払わなければならない義務を負っています。
そのため、他の相続人が固定資産税を支払わない場合、一旦、固定資産税額全額を支払わなければいけません。
相続人が誰も支払わない場合、延滞税などのペナルティーが課せられ、最終的には、財産を差し押さえられる場合がありますので注意が必要です。
なお、過去5年分という限定がなされる理由は、基本的に、固定資産税の支払いについては、5年で時効にかかるためです。
相続放棄をすると固定資産税は支払わなくていいのですか?
相続放棄をすると、原則、固定資産税を支払わなくてよくなります。
もっとも、相続放棄をした人が固定資産課税台帳に登録されていた場合は、相続放棄をしたとしても、必要な諸手続きをしないと、納税する義務を負うこととなります。
この固定資産課税台帳とは、簡単にいうと、市町村が固定資産税を課税するために取りまとめた、所有者ごとの資産の一覧表のことをいいます。
固定資産課税台帳に登録されているかどうかについては、固定資産税の請求が誰の名義で来ているのかによって確認することができます。
例えば、相続放棄をした後に、相続放棄をした人の名義で固定資産税の通知が来た場合は、相続放棄をした人が固定資産税課税台帳に登録されているため、必要な諸手続きをしないと、固定資産税を全額支払わないといけなくなります。
なお、相続放棄をする場合、遺産から固定資産税額を支払ってしまうと、相続放棄ができなくなりますので、注意が必要です。
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