遺産分割協議書と遺産分割協議証明書について
1 遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は別物
遺産分割協議書と遺産分割協議証明書は、別物です。
遺産分割協議書と遺産分割協議書は、それぞれメリット、デメリットがありますので、以下では、これらについてご説明します。
⑴ 遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、相続人間で遺産の分け方の結果をまとめた書類のことを言います。
遺産分割協議書の場合、相続人全員が同じ書面に、署名・押印することになります。
遺産分割協議書で手続きを行う場合は、遺産分割協議書1通で、相続手続きを行うことが可能です。
⑵ 遺産分割協議証明書とは
他方、遺産分割協議証明書とは、遺産分割協議の結果を各相続人が証明する書類です。
遺産分割協議証明書には、作成される相続人一人の署名・押印で足ります。
遺産分割協議証明書で手続きを行う場合は、相続人全員から、それぞれが署名・押印した遺産分割協議証明書を取得して、手続きを行います。
たとえば、相続人がA、B、Cの3人がいる場合、A、B、Cそれぞれが、遺産分割協議証明書に署名押印し、手続きを行う人が、A、B、Cが作成した遺産分割協議証明書1通ずつをもって、手続きを行うことになります。
2 遺産分割協議書のメリット・デメリット
⑴ 遺産分割協議書のメリット
まず、遺産分割協議書を作成するメリットとしては、相続人全員が署名、押印をするため、遺産分割がまとまったことが明確になる点です。
また、遺産分割協議書であれば、ほぼすべての金融機関で、預貯金の解約等の手続きを行うことが可能です。
⑵ 遺産分割協議書のデメリット
他方、遺産分割協議書のデメリットとしては、原則、相続人全員の署名・押印が必要になるため、相続人が多数いらっしゃる場合や、相続人が遠方に暮らしている場合、遺産分割協議書を作成するのに時間がかかってしまいます。
もっとも、相続人の数が多い場合は、遺産を取得されない方から、相続の権利を譲りうけて、相続人の数を減らしてから手続きを行うこともできるため、基本的に、それほど大きなデメリットではありません。
3 遺産分割協議証明書のメリット・デメリット
⑴ 遺産分割協議証明書のメリット
遺産分割協議証明書は、作成される相続人一人の署名・押印するだけで良いため、相続人が複数いる場合や、遠方にいる場合、スムーズに手続きを進めることができるメリットがあります。
⑵ 遺産分割協議証明書のデメリット
遺産分割協議証明書では、手続きを行うことができない金融機関も存在します。
というのも、遺産分割協議証明書は、遺産分割協議書に比べ、相続一般に広く活用されているわけではないため、対応したことがない金融機関も存在します。
そのため、相続手続きを行う金融機関に、遺産分割協議証明書でも手続きを行うことができるか確認した方が良いでしょう。
4 遺産分割協議書、遺産分割協議証明書を作成する際は専門家へ
このように、遺産分割協議書、遺産分割協議証明書には、それぞれメリット、デメリットが存在します。
そのため、遺産分割協議書、遺産分割協議証明書を作成する際は、一度、専門家にご相談されることをおすすめします。